さて、うどん県レポに戻りましょう。
次に訪れたのは直島の東にある豊島(てしま)。
高松港から高速船で向かいます。
船にはフランス語を話す外国人20名ほどの団体さんも同乗しています。
アップダウンのある道が多いというので、港近くの観光協会で電動アシスト付きの自転車を借りようとしたのですが、朝早かったせいかまだやってない。
そういえばさっき、ガソリンスタンドのご主人がボードを持って客引きをしていたっけ、と訪ねてみることに。
あいにく電動自転車は予約が入っていて1台しか用意できないそう。
「普通の自転車ならあるけど、だんなさんはこちらに乗る?でも見たところ元気いっぱいの学生さんには見えないし、あっはっは!レンタカー半日だったら自転車2台借りるのとあんまり変わらないよ」
結果的にはこれが大正解。
ご主人手書きの島の地図に、開館時間を考慮して効率よく回るための道順、目安時間を書き込んでくれました。
「ここもおもしろいよ。こちらもはずせないし」
島のアート作品を観光客が楽しむのがとてもうれしいよう。
豊島の東は小豆島。こんなに近くに見ることができます。

クリスチャン・ボルタンスキーの「心臓音のアーカイブ」は浜辺近くの松林の中に建っています。

心臓の音に合わせて光が点滅する部屋の中にいると、圧倒的な心臓音にこちらの胸がドキドキ。
自分の心臓音を録音して登録したり、登録されている人たちの心臓音を選んで聴くこともできます。
のどかな田園地帯に建つ塩田千春の「遠い記憶」。

島中で集めたガラス窓で作ったトンネル。
ひとつひとつ見ていくと、なつかしい気持ちになります。

ストームハウスは外から見ると普通の日本家屋。

靴を脱いで家に上がると、そこはまさに子どものころの台風の夜!
窓を鳴らす風の音、打ち付ける雨が滝となって窓を流れ、稲光に雷の音。
天井から吊るされた電灯はチカチカと明滅し、ついには消えてしまう。
急に回りだす扇風機。
ストームハウスの作者はカナダ人のユニットというのも驚きです。
残念ながら内部は撮影禁止でしたが、外見の地味さに惑わされずに体験すると楽しいかも。
集落の空き家を再生し、丸ノ内ホテルのシェフのアドバイスを受けた島のお母さんたちが料理を作る「島キッチン」。
食事の時間には合わなかったので利用しなかったのですが、裏手の敷地にある「あなたの最初の色(私の頭の中の解-私の胃の中の溶液)」を鑑賞。

土蔵の天井付近の円形スクリーンに次々とカラフルな映像が映し出されて幻惑されそう。
ただただきれいです。
そして棚田が広がる丘にある「豊島美術館」。
船でいっしょだった外国人の団体さんも来ています。
ここまで徒歩できたのかな?
右手の天井に開口部がある建物が美術館、左手はカフェとショップです。

緑の中の遊歩道を進んで、美術館入口に到着。
人数制限をしているので、鑑賞の際の注意事項の説明を受けながらしばし待ちます。
順番が来て、内部に入ると…。
おおー、これは!と声をあげそうになりました。
何の予備知識も持たずに来たので、驚きもひとしお。
中では、ゆっくり歩き回る人、座って静かに鑑賞する人、寝転がっているうちに眠ってしまった人など、みなさん思い思いに味わっています。
時間帯や天候によっても違う顔を見せてくれるはず。
これから訪れる方のために詳しくは書きませんが、豊島を訪れたらぜひ行ってみてください!
撮影禁止のため、写真はありませんが、山道を登った奥の池に立つ森万里子の「トムナフーリ」は、スーパーカミオカンデとコンピュータで接続していて、超新星爆発が起こると発光するモニュメント。
ひっそりと立つ様はそれだけで不思議な感じですが、光を放つところを見てみたいな。
半日走って、ガソリンスタンドに車を返したら、今度は奥さんが「海のレストラン」まで送ってくれました。
瀬戸内海を望むテラス席で、盛り合わせランチと、イカのお刺身をオリーブオイルと塩とともに。

食後は徒歩で、高松港行きの船が出る家浦港付近を散策。
ガソリンスタントのご主人の作った観光プランは完璧です。
アッ、すみません、アイスやさんは素通りして、豊島横尾館へ。

民家を改修して作った横尾忠則さんの美術館です。
大きな絵画作品から、原色の不思議な庭園やら、横尾ワールド全開です。
こちらも撮影はできません。
古民家を改装したカフェイルヴェントはカフェそのものがアート作品。
ストライプが施された店内で、小豆島オリーブサイダーとみかんジュースをいただきます。

2階はドット柄。イスやテーブルもモダンでおしゃれ。

特産のオリーブオイルやいちごソースなどのお買い物をして豊島へ別れを告げました。
ずっとお天気に恵まれていたのですが、最終日は雨。
予定では、女木島と男木島に渡る予定だったのですが、泣く泣く断念。
いつかきっと行くぞー!
気を取り直して、レンタカーで丸亀市の猪熊弦一郎美術館へGO!
ちょうど企画展「猫達」の展示中です。
こちらの美術館は丸亀駅の目の前。そして内部も撮影自由。
気軽に訪れたくなる美術館ですね。

まずはもう一つの企画展「マルティーノ・ガンパー 100日で100脚の椅子」へ。
使われなくなった椅子を集め、1日1脚ずつ作ったそうです。
私のお気に入りはこれ!

常設展会場はこちら。
赤、青、緑などの絵画は20年過ごしたというニューヨークの街並み。

そしていよいよ猪熊弦一郎の猫達に会いに。
デフォルメしたもの、写実的なもの、線画や油絵など、画家が描く猫たちの姿は様々。

毛を逆立てて睨み合ったり、のんびり寝転んだり、猫といっしょに暮している人ならではの視線です。

こちらは猪熊家の猫たちが実際に使っていたイスというかハンモック?

一時は1ダースの猫が家にいたそうですよ。
弦一郎が猫好きになったのは奥様の影響だそう。
亡くなった夫人を描いた絵では、棺に横たわっている顔を取り巻くように、たくさんの猫の姿が。
2人がどんなに猫を愛していたのかわかるよう。
うどん県に来たのに、まだうどんを食べてない!
というわけで、美術館からそう遠くないうどん屋さんを目指して出発です。
適当に選んだのは、美術館から車で15分ほどの「中村うどん」。
順番待ちしている間にネットで調べたら、かつてはお客さんが畑でネギを取ってきて自分の分は自分で刻むというほどディープなうどん屋さんだったそう。

今では、ちゃんとネギは用意されていますが、セルフサービスなので、先に注文している人の様子をキョロキョロ。
人気の釜玉うどんをいただくことに。
まずは大や小といった大きさによって器を選び、テーブルの上に置かれた卵を取って割り入れます。
釜のところで茹で上がったうどんを入れてもらったら、すかさずかき回して、好きなトッピングを乗せ、タンクの蛇口をひねって出しを入れ、お会計。
えび天と野菜のかき揚げを乗せました。
外のテーブルで食べたので、おいしさもぐっと増します。

うどんの玉がなくなり次第閉店だそうですので、お早めにどうぞ~。
展望スポット五色台に上ってみたけれど、あいにくの天気で、瀬戸大橋もうっすら見えるような見えないような。
中腹の四国八十八カ所の札所白峯寺をお参りして、うどん県の旅は打ち上げ。

高松空港を降り立ったときに目に飛び込んできたロゴ「うどん県。それだけじゃない香川県」を実感する旅となりました。
3年に1回開催される瀬戸内国際芸術祭が来年開催されるので、ますますアートにみがきがかかるかも。
また再訪したいところが増えました♪