
おじさんは荷物の撤収、私は交差点近くの動物病院へ。
「そこの交差点で子猫を保護したので健康状態を見てください」とキャリーを傾けると、枯葉と砂と子猫が出てきました。
「そこの交差点?もしかして手袋をはめて作業していた方ですか?出勤途中に通りかかって、何してるのかな?と思ってたんですよ」
おじさんが家に物を取りに行っている間に、お手洗いを借りた近くのコンビニで「えーっと、何か買うものはないかな」と買ったグリーンのゴム手袋が目立っていたようです。
ゴム手袋、結構役に立ちました。
子猫ちゃん、空気砲を発射して先生も威嚇。
「あら、気が強い。ちょっと洗いましょうね」ときれいにしてもらって戻ってきたら、サバトラじゃなくて、キジトラ白でした。
ハナシェー!

当日はカメラを持って行ったのに、余裕がなくて1枚も写真が撮れず、唯一撮ったスマホの1枚です。
「体重は360グラム、たぶん女の子ですね」
植込みにいたので、ノミやダニの駆除のためのレボリューションを背中に垂らしてもらい、ウイルス検査。結果は陰性でした。
「この猫ちゃんどうしますか?」
「もう少し大きくなったら里親を探そうと思うのですが、こんな小さくてはまだ離乳していないですよね。どうしましょう、2人とも昼間は仕事で家にいないんです」
「よかったらうちで預かりますよ。そろそろフードでも大丈夫かも。里親募集もお手伝いしましょう。こんなにかわいいからすぐに見つかりますよ」
格安の料金で預かってくれることになり、本当にほっとしました。
それにしても、こんな小さな体で、斜面の植込み、アロエの密集地、ガードレールの土台と、隠れ場所を求めて、私の知っている限りでも100メートルも移動した子猫ちゃん。
思わず言ってしまったけど、里子に出すことになるのか、でもうちにはベツヲとナッツがいて、これ以上飼うことはむずかしいしと、気持ちは複雑です。
病院に預けた翌々日の午前、仕事中に携帯が鳴りました。
「お預かりしている子猫ちゃんですが、どうも歩き方がおかしいのでレントゲンを撮ったら足を骨折していました」と先生。
仕事が終わったら病院へ行きますと答えて電話を切りました。
「左の大腿骨が折れています。骨盤も右にずれていておしっこが出にくく膀胱炎を起こしているので、抗生剤を飲ませています」
レントゲン写真を見せていただくと、きれいにスパンと折れています。
土台から押し出す時に力がかかってしまい折れたに違いありません。
「いいえ、猫の体は柔らかいですから、そうではないと思います。強い力が上から加わらないとこんなふうに折れるものではありません。たとえば自転車に引かれたとか」
いったいいつ折れてしまったのか。移動する途中?どんなに怖かったことでしょう。
「いずれにしても、骨折を治してからでないと里親募集はできなくなってしまいました。すぐに見つかると言ってしまってごめんなさい」
とんでもありません。とにかく治療費はすべて負担しますので、引き続きよろしくお願いします。
子猫ちゃん、あんよ痛いのね?
イタクナイヨ。

「それが痛がるそぶりもなく元気はあるんですよ。缶詰にドライフードを混ぜたものをパクパク食べてます。威嚇もしなくなりました」
トイレモデキル。

そうなの?ほんとにえらいね。
子猫の場合は、骨折は自然に治ることが多いとのこと。
しばらく病院で預かってもらうことになりました。
そして次の土曜日、面会に行くと、膀胱炎も治り元気いっぱい。
「家に連れて行ってみますか?」

あわてて、友人に貸していたケージを引き取りに行き、翌日うちへ。
その後の経過は今まで書いたとおりです。
そんなわけで、里親募集はなし崩しにどこかへ行ってしまい、骨折はいつの間にやら治り、今ではうちでブイブイ言わせています。
私の場合は、うちの子にするか、どうしようか、と行きつ戻りつだったのですが、保護の翌日名前を決めちゃった人がいまして。
「ガードレールから出てきたから、レイルのレイちゃん」
保護に奮闘しているとき気にかけてくださった方々に伝えたい。
あの子猫はうちで元気にしてますよ。
前の日にエンジンルームから救出されたレイの兄弟かもしれない子はおうちが決まったかな?
交差点近くの動物病院の先生、親身にお世話をしていただき、どうもありがとうございます。
そして、1番の功労者は、あのとき横断歩道を渡って来た黒白猫さんでしょう。
キミが来なかったら、レイの居場所はわからずに、あきらめて帰ってしまったかもしれない。
黒白猫さん、ありがとう!


